一時期、僕のポルトガル語ノートは、管理の行き届いていない動物園の備品台帳みたいだった。沼に入った牛。未払いの請求を抱えたアヒル。誰かがわざわざ怒らせようとしているジャガー。動物だけはよく覚えていた。思い出せなかったのは、その話をしていた人が恥ずかしがっていたのか、腹を立てていたのか、それとも敷金を失いかけていたのか、という部分だった。
ブラジルポルトガル語の動物の慣用句には、そこに落とし穴がある。意味が身につくより先に、絵だけが頭に残る。そして、その意味には話し手の気持ちも含まれる。同じひどい会議について、ヒキガエルでもアヒルでも話せるけれど、訴えている不満は別のものになる。
今回は、ひとかたまりで覚えたい10個の表現を、使える場面と一緒に紹介する。野生動物の知識はいらない。誰に向かって言うかを少し考えるほうが役に立つ。
ブラジルの動物の慣用句10個を一覧で
| 表現 | 文字どおりのイメージ | 伝える意味 |
|---|---|---|
| Cutucar a onça com vara curta | 短い棒でジャガーをつつく | わざわざ面倒を招く |
| Amigo da onça | ジャガーの友達 | 味方のはずの友人に裏切られる |
| Engolir sapo | ヒキガエルを飲み込む | 嫌なことを我慢する |
| Pagar o pato | アヒルの代金を払う | 他人の責任をかぶる |
| Pagar mico | 小さなサルを払う | 恥をかく |
| A vaca foi para o brejo | 牛が沼に行った | 計画がだめになった |
| Dar zebra | シマウマが出る | 予想外の結果になる |
| Tirar o cavalinho da chuva | 小馬を雨から避難させる | その期待を諦める |
| Comprar gato por lebre | ウサギだと思って猫を買う | 約束より劣るものをつかまされる |
| Matar um leão por dia | 毎日ライオンを1頭倒す | 日々大きな困難と向き合う |
まずはジャガー:面倒事と困った友達
1. Cutucar a onça com vara curta
日本語なら「虎の尾を踏む」が近い。ポルトガル語では相手がジャガーになり、しかも棒が短いとわざわざ指定される。危険な相手と自分の手の距離が、どう考えても近すぎる。
誰かを刺激して、あとで後悔するような反応を招くことだ。Michaelisの辞書でも、cutucarの項目にこの表現が載っている。
「Reclamar do almoço na frente de quem cozinhou é cutucar a onça com vara curta.」「作った本人の前で昼ごはんに文句を言うなんて、わざわざ怒らせにいくようなものだ。」
日曜日の家族の食卓を想像してほしい。豆料理が好みではなくても、調査委員会まで立ち上げる必要はない。この表現は警告として使われ、冗談めかすことも多い。ただし、意見が違うだけで何でも危険だという意味ではない。
発音は、onçaが「オンサ」に近い。ただし最初の母音を鼻に響かせ、「ン」を独立した一拍としてはっきり言わない。çは「ス」の子音に当たる。イラストの動物はonça-pintada、斑点のあるジャガーだ。
2. Amigo da onça
Amigo da onçaは、友達のはずなのにちっとも助けにならない人。例えば、サビしか知らないと説明した直後なのに、友人がカラオケのトップバッターにあなたを推薦する。いったい誰の味方なのだろう。
「Você contou o final do filme? Que amigo da onça!」「映画の結末を言ったの? ひどい友達だな!」
親しみのあるからかいにも、本気の非難にもなる。言葉自体に笑顔が付属しているわけではない。
ここには、確かめられるブラジル文化の歴史がある。ペリクレスの漫画**『O Amigo da Onça』は1943年に雑誌『O Cruzeiro』で始まった**。ジョアキン・ナブコ財団が記録している。これは漫画の歴史を示すもので、慣用句が初めて使われた瞬間を示すものではない。最初のジャガーの出所は、そのままにしておいてもいいと思う。
ヒキガエル、アヒル、サルは交換できない
3. Engolir sapo
文字どおりなら「ヒキガエルを飲み込む」。言い返すと不利益があるため、不快なこと、特に侮辱や不当な扱いを我慢することだ。Auleteの定義にも、必要に迫られたり、自分の都合を考えたりして耐えるという要素がある。
「Ouvi a crítica injusta e engoli sapo para não discutir.」「不当な批判を聞いたけれど、言い争いを避けるためにぐっと飲み込んだ。」
表情は落ち着いたまま、頭の中ではものすごく失礼な返信を書いている。そんな気持ちの領域だ。批判に同意したという意味ではないし、いつでも我慢すべきだと勧めているわけでもない。
「カエルなら似たようなもの」と考えて、sapoをrãに替えないように。この表現には決まった言い方がある。日本語の「飲み込む」という比喩が理解を助けても、動物まで自由に選べるわけではない。
4. Pagar o pato
こちらは誰が結果を引き受けるかの話だ。問題を起こしたのは別の人なのに、請求や非難や罰が自分に回ってくる。Michaelisもpatoの項目でこの意味を示している。
「Eles fizeram a bagunça, mas eu paguei o pato.」「散らかしたのは彼らなのに、責任をかぶったのは僕だった。」
共同のキッチンを想像してみよう。料理もしていないし食べてもいない。それなのに、焦げた鍋について謝っているのは自分。実際にお金が動かなくても、このアヒルは使える。
まずpagar o pato、そのあとengolir sapoという順番もある。不当に責められ、それから言い返すのをこらえる。二種類の動物が、散々な午後の別々の部分を表している。
5. Pagar mico
動詞は同じでも、不満の種類が変わる。Pagar micoは、恥をかいたり、気まずい失敗をしたりすること。
「Acenei para uma pessoa que não estava falando comigo. Paguei mico.」「自分に話しかけていない人に手を振ってしまった。恥ずかしかった。」
言い方にも注目してほしい。ここで覚える形ではpagar o patoだが、pagar micoにはoがない。フレーズ全体を覚えれば、動物の単語カードから毎回組み立て直さずに済む。
僕はこれを自分に向けて使うほうが、感じがいいと思う。他人に「恥をかいたね」と言うと、それを面白がっているように聞こえることがある。慰めたいのなら、慣用句のコレクションを披露するより、普通の励ましのほうが役に立つ。
Falandoで試してみよう: 慣用句トレーナーには、意味を説明したり、自分で文を作ったりする練習がある。気の利いた表現を選ぶ前に、その場面で何が起きたのかを考えてみよう。
計画が崩れると、さらに動物が現れる
6. A vaca foi para o brejo
牛が沼に入ってしまった。状況が悪化した、あるいは計画が失敗したという意味だ。
「Perdemos o último ônibus. Agora a vaca foi para o brejo.」「最終バスを逃した。これでもうお手上げだ。」
この絵には少し諦めがある。計画があって、今はその残骸を眺めている。笑いのために大げさに言うこともできる。バスに乗り遅れたからといって、人生が終わるとは限らない。
会話ではpara oがproに縮まることが多いため、a vaca foi pro brejoという形も聞く。どちらも同じ沼を指している。Brejoは「ブレージュ」に近く、breに強勢を置く。ただし日本語の長音ほど母音を引き伸ばさず、jは破裂させない摩擦音になる。
7. Dar zebra
サッカーの優勝候補が、誰にも勝ち目がないと思われていた相手に負ける。Deu zebra!「番狂わせだ!」この表現が特に活きる場面だ。
Michaelisの項目には、もっと広く、予想外の結果や悪い結果という意味もある。どちらになるかは文脈次第。
「O favorito perdeu em casa. Deu zebra.」「本命がホームで負けた。番狂わせが起きた。」
牛とシマウマは少し違う。牛は「うまくいかなかったこと」に重点があり、シマウマは「予想外だったこと」に重点がある。弱いほうのチームを応援しているなら、シマウマは週末いちばんの喜びかもしれない。何でも「大失敗」と訳さないようにしたい。
8. Tirar o cavalinho da chuva
期待や提案を諦めてほしいと、かなりはっきり伝える言い方。Michaelisにはcavaloとcavalinhoの両方の形が載っている。
「Quer que eu trabalhe no domingo? Pode tirar o cavalinho da chuva.」「日曜日に働いてほしいって? それは諦めて。」
小馬はかわいく聞こえる。でも、断り方はかなりきつくなることがある。友達相手なら冗談でも、まっとうな質問への返事としては、突き放す感じがするかもしれない。もっと穏やかな言い方は、ブラジルポルトガル語での断り方を参考にしてほしい。
9. Comprar gato por lebre
ウサギだと説明されたものを買ったら、猫が来た。つまり、宣伝されていたより劣るものを売りつけられた、ということ。Comprarとvender gato por lebreの違いで、だまされた買い手なのか、だます売り手なのかが分かる。
「O anúncio dizia couro, mas a bolsa era de plástico. Comprei gato por lebre.」「広告には革と書いてあったのに、バッグはプラスチックだった。違うものをつかまされた。」
値段が高かっただけでは、この表現にはならない。約束されたものと、実際に受け取ったものの食い違いがポイントだ。「安物買いの銭失い」とは違って、安く買ったこと自体が問題なのではない。
10. Matar um leão por dia
仕事、請求書、次から次へと出てくる問題。繰り返される困難を何とか乗り越える努力を表す。疲れがにじむ言い方で、ときには誇らしさも混ざる。
「Para manter a loja aberta, ela mata um leão por dia.」「店を続けるために、彼女は毎日大変な苦労をしている。」
大切なのはpor dia。明日もまた同じことをしなければならない。この絵を理解することと、よい働き方の哲学として受け入れることは別だ。僕なら、ライオンがもう少し少ない一週間のほうがいい。
丸暗記したように聞こえずに慣用句を覚えるには
最近いちばん疲れた日を表すなら、どの慣用句が合うだろう。そこから始めてみよう。知っている状況と結びついた表現には、記憶の中で居場所ができる。
ブラジルの動物の慣用句を練習するときの、僕のルールは六つ。
- Oやporのような短い語も含め、フレーズを全部保存する。
- 自分が使えそうな普通の場面を一つ書く。
- 文字どおりの絵と、実際の意味を分けて覚える。
- 話し手が冗談を言っているのか、不満を述べているのか、断っているのかに注目する。
- 誰かに使う前に、自分の例文を声に出してみる。
- 合うときに一つ使う。残り九つは別の日に取っておく。
Falandoで試してみよう: 公開されている慣用句集で、意味と例文を見比べてみよう。そのあと説明を隠して、話し手が何をしているかを言ってみる。責めているのか、からかっているのか、断っているのか、それとも単に悪い知らせを伝えているのか。
ブラジルの動物の表現についての質問
なぜブラジルポルトガル語の慣用句には動物が多いの?
動物は、人間の行動を覚えやすい絵にしてくれる。日本語にも虎や借りてきた猫が登場する。ただし、それで今回の10個すべてに共通の起源があることにはならない。きれいにまとまった由来話を信じる前に、確認できる意味を学ぼう。
Pagar o patoとpagar micoは同じ意味?
違う。アヒルは他人の行動の責任を引き受けること。サルは恥をかくこと。両方を同時に経験することはあっても、片方に必ずもう片方が含まれるわけではない。
仕事のメールで使ってもいい?
相手との関係と、伝える目的を考えたい。同僚との気軽なやり取りなら合う場合もあるが、正式な苦情なら直接的な説明のほうが明確だ。特にamigo da onçaとtirar o cavalinho da chuvaは、誰かに向けて言うときには気をつけたい。
初心者は10個全部暗記するべき?
まずは聞いて分かるようになろう。自分でも使う場面を想像できるものを二つか三つ選び、そちらを練習する。冗談が理解できるだけでも前進だ。すべての会話に新しい動物を出す必要はない。
以前の僕は、慣用句を正しく使うとは、訳を思い出せることだと思っていた。今は、その直前の瞬間をよく見る。誰が何をして、誰が不機嫌で、誰かが笑っているのか。そこを見ると、たいてい意味がはっきりする。
アヒルとサルが混ざるなら、その二つから始めればいい。それぞれ一つ例文を言って、いったん休ませよう。Falandoの慣用句トレーナーでは、続けたくなったときに意味の説明や文作りを練習できる。少しずつ動物の絵に気を取られなくなり、会話の流れが追いやすくなるはずだ。そしてジャガーについて警告されたときは、棒を置くことに集中できる。


