注意: このブラジルの悪口ガイドは大人の学習者向けだ。強い罵り言葉、露骨な性的語彙、そして終盤のはっきり区切った一節では差別語も扱う。すべて伏せ字なしで書いている。アスタリスクの列でしか見たことのない言葉は、騒がしいバーでは聞き取れないからだ。職場で読んでいる人や、子どもが肩越しにのぞき込んでいる人は、後で読んでほしい。
初めて pelada、つまりブラジル人が仕事帰りに空いているコートで気軽にやるサッカーに参加した夜、会社では使えない新しい単語を十個以上抱えて家に帰った。うちのゴールキーパーは失点すると porra! と叫んだ。十分後、今度はセーブを決めてにやりと笑いながら、また同じ言葉を叫んだ。ボールを持って抜き去ったディフェンダーは、僕の母親についてずいぶん色彩豊かなことを言ったが、その夜、車で家まで送ってくれたのはその彼だった。
ブラジルの悪口はどこにでもあり、しかも驚くほど多くが怒りとは無関係だ。ブラジル人が真剣に気にするのは、その言葉が誰に向けられているかである。以下では、語彙を「誰のおばあちゃんの前でも平気」から「絶対に言ってはいけない」まで並べ、それぞれの言葉が実際の会話で何をしているかを説明する。
ブラジルポルトガル語の悪口の仕組み
耳にする悪口の大半は、三つの習慣で説明がつく。
状況には毒づき、人は侮辱する。 Porra, esqueci a senha! —「クソッ、パスワード忘れた!」— は嫌な瞬間への反応で、その場の誰も自分に向けられたとは受け取らない。同じ勢いを人に向けると、空気は一気に変わる。
強い言葉がしばしば褒め言葉になる。 コンサートは foda(最高)になり得るし、景色は do caralho(とんでもなくすごい)、思わぬ幸運は uma puta sorte(めちゃくちゃな幸運)になる。日本語の「ヤバい」が褒め言葉にもなるのと少し似ている。悪口をすべて怒りとして聞いていると、周りの盛り上がった会話の半分を誤解することになる。
文字どおりの意味はほとんど消えている。 Puta que pariu は直訳すると「産んだ売春婦」だが、人々は日本語の「マジかよ!」や「ちくしょう!」のような感覚で言う。誰の母親も関係ない。
この先のすべてに役立つ小さな文法がある。侮辱語の前の seu と sua は「あなたの」ではない。Seu idiota! は「このバカ!」で、Sua chata! は女性に向けた「ほんとにうっとうしいな!」だ。日本語の「このバカ」の「この」に近い働きをしている。また、ブラジル人は侮辱語を先に、人を後に置く。o idiota do motorista は直訳すると「運転手のバカ」に見えるが、意味は「あのバカな運転手」だ。
リスク別に並べたブラジルの悪口
新しい人と知り合う外国人のための目安だと考えてほしい。家庭、職場、地域、友人関係にはそれぞれの線引きがあるし、なまりも影響する。ブラジル人の友だちが言えば自然な言葉でも、外国人の口から出るときつく聞こえたり、単に妙に聞こえたりする。
| レベル | 例 | 日本語でのおおよその感覚 | 使える場面 |
|---|---|---|---|
| 1. 安全な言い換え | caramba, poxa, putz, droga | うわっ、あちゃー、しまった | ほぼどこでも |
| 2. 下品だが日常的 | merda, bosta, pô, cacete, babaca | クソ、バカ、アホ | 友人同士、くだけた会話 |
| 3. 強烈だがどこでも聞く | porra, caralho, foda, puta que pariu | クソッ、マジかよ(ただし性的で、はるかに下品) | 親しい友人、サッカー、慎重に |
| 4. 人に向ける侮辱 | filho da puta, vai se foder, cuzão | クソ野郎、くたばれ | けんかを売りたいときだけ |
| 5. 絶対に言わない | 性的指向、人種、障害、出身地、女性に対する差別語 | 差別語 | 決して使わない |
レベル1:誰のおばあちゃんの前でも言える言葉
強い言葉のほとんどには、角の取れた双子がいる。日本語で「ちくしょう」の代わりに「しまった」や「あちゃー」と言うようなものだ。新しい職場でも、家族の昼食でも、子どもが聞いている場所でも、僕はこれらを使う。
- Caramba! または Caraca!(カランバ、カラカ):caralho の上品な代用語。Caraca, que vista! —「うわあ、なんて景色だ!」
- Poxa!(ポシャ):porra の穏やかないとこで、がっかりしたときに便利。Poxa, choveu de novo. —「あーあ、また雨か」
- Putz!(プッツ):puta を短く切ったもので、小さな災難向け。Putz, esqueci o guarda-chuva. —「しまった、傘を忘れた」
- Droga! と Que porcaria!:「ちぇっ!」と「なんてガラクタだ!」。merda と言いそうになったら、代わりにこれを使おう。
- Que saco!:「うんざりだ!」。saco は「袋」で、もっと下品な第二の意味もあるが、この表現自体は日常語だ。厳しい家庭では今でも眉をひそめる人がいる。
- Cacilda!:コメディアンのムッスン(Mussum)が cacildis という形で有名にした、おどけた代用語。彼の決めぜりふは今もミームとして出回っていて、たいてい笑いが取れる。
ブラジル人は、悪口を一切使わずに相手を追い払う愉快な言い回しもたくさん持っている。日本語の「おととい来やがれ!」に近いノリだ。
- Vai catar coquinho! —「小さいココナッツでも拾ってこい!」
- Vai pentear macaco! —「猿の毛でもとかしてこい!」
- Vai plantar batata! —「じゃがいもでも植えてこい!」
- Vai ver se eu estou na esquina! —「俺が角にいるかどうか見てこい!」
漫画のようにばかばかしいので、きょうだいや、からかうのをやめない友だちにも使える。
Falando で試す: Ir pentear macaco は慣用句トレーナーに収録された表現の一つだ。「人にこびへつらう」という意味の puxar saco も入っていて、こちらは que saco と同じ saco を使っている。
レベル2:下品だが、職場でも耳にする
ブラジルの親が olha a boca! —「言葉に気をつけなさい!」— と言うものの、誰も本気で怒ってはいない、そんな言葉だ。
Merda(メルダ)は「クソ」で、日本語の「クソ」とほぼ同じように使える。Que merda! —「クソッ!」または「ひどいありさまだ!」。Deu merda は「全部うまくいかなかった」という意味だ。意外にも礼儀正しい使い道もある。ブラジルの演劇界では、役者同士が本番前に「幸運を」の代わりに merda と言い合う。英語圏の役者が「脚を折れ」と言うのと同じ習慣だ。礼儀正しい返事はもう一度 merda で、obrigado とは決して言わない。
Bosta(ボスタ、o は口を広く開ける)も「クソ」だが、「くだらないもの」寄りだ。Esse filme é uma bosta —「この映画、クソつまらない」。僕の耳には、merda より少し子どもっぽく響く。
Pô(ポ)は porra を縮めたもので、毒気はほとんど抜けている。Pô, cara, não faz isso! —「おいおい、やめろって!」。pô とその周りの穏やかな反応については、ブラジルの感嘆詞ガイドで詳しく扱っている。
Cacete(カセッチ)は文字どおりには「こん棒」で、スラングでは男性器も指す。たいていは強調語として耳にする。Tá frio pra cacete —「クソ寒い」。
このレベルの日常的な悪口は、校庭から居酒屋くらいまでの幅がある。bobo(おばかさん)、chato(うざいやつ)、mané(まぬけ)、babaca(アホ)、otário(カモ、だまされやすい人)、そして idiota と imbecil。どれも優しくはないが、友情を終わらせるほどでもない。
レベル3:porra、caralho、foda など、どこでも聞く言葉
サッカー観戦のバーでも、渋滞の中でも、大人向けのブラジル映画でも、これらの言葉はよく聞こえる。下品な言葉だが、あまりにありふれているので、聞こえたからといって何かまずいことが起きたとは限らない。
Porra(だいたいポーハ。リオやサンパウロでは rr が日本語の「ハ」行に近い音になる)は文字どおりには「精液」だが、その意味で使う人はほとんどいない。乗り遅れたバスにも、決勝ゴールにも使える万能の反応だ。Porra nenhuma は「まったく何も」「冗談じゃない」という意味になる。Ele não fez porra nenhuma —「あいつ、マジで何ひとつやってねえ」。
Caralho(カラリュ)は文字どおりには「男性器」だ。早口の会話やメッセージでは carai や caraio になることが多い。単独では「マジかよ!」に近い反応だが、ずっと下品だ。さらに、いつも耳にする二つの表現を作る。
- 名詞の後の do caralho は「最高の」。Foi uma festa do caralho —「とんでもなく最高のパーティーだった」
- 形容詞や動詞の後の pra caralho は「ものすごく」。Tá calor pra caralho —「クソ暑い」
Foda(フォダ、o は口を広く開ける)は「最高」と「最悪」の間を行き来し、どちらなのかは文脈でしかわからない。Foda-se は「知るか」「どうでもいい」、fodeu! は「詰んだ!」、tô fodido は「もう終わった」。動詞 foder は性行為を指す下品な言葉で、何かを台無しにする、誰かをひどい目にあわせるという意味もある。Esse trânsito me fodeu —「この渋滞のせいで最悪な目にあった」。
Puta は「売春婦」を意味する侮蔑語で、女性に向けて言えばレベル5に入る。ただし決まった言い回しの中では強調語として働く。Puta que pariu!(プタ・キ・パリウ)は、知らせの内容によって「マジかよ!」にも「ちくしょう!」にもなる。名詞の前の uma puta は「とんでもない」、estar puto は「ブチ切れている」という意味だ。Tô puto com ele —「あいつにマジでキレてる」。
同じ言葉が良い知らせにも悪い知らせにもなる。
| 言葉 | うまくいったとき | うまくいかないとき |
|---|---|---|
| foda | O show foi foda. — ライブ、最高だった。 | A semana tá foda. — 今週はマジでキツい。 |
| caralho | Um lugar do caralho. — とんでもなくすごい場所。 | Caralho, perdi o ônibus! — クソッ、バスに乗り遅れた! |
| puta | Uma puta ideia. — すげえアイデア。 | Que puta azar. — なんてツイてないんだ。 |
| porra | Porra, que golaço! — うおっ、なんてゴールだ! | Porra, travou de novo. — クソッ、また固まった。 |
友だちが一週間の話をしながら foi foda と言ったら、祝うべきか、慰めるべきか。答える前に顔を見よう。
メッセージでは、ほとんどが数文字に縮む。pqp(puta que pariu)、krl や crl(caralho)、fdp(filho da puta)、vsf(vai se foder)、tnc(tomar no cu)などだ。グループチャットの残りを埋める、もっと無難な略語についてはWhatsApp スラングガイドを見てほしい。
Falando で試す: 18歳以上なら、設定の「学習」タブで 露骨なコンテンツを有効にする をオンにすると、porra、foda-se、puta que pariu を含む Falando の露骨な語彙が表示される。背景にある文法は、C2 レベルのレッスン罵倒入門:foda・foder・caralhoと罵倒応用:puta・porra・merda・bostaで学べる。
レベル4:人に向ける侮辱
ここで同じ語彙が個人攻撃に変わる。落としたスマホに向かって porra と言うのはレベル3。ぶつかってきた人に vai se foder と言えばレベル4で、その後に何が起きても自分で引き受けるしかない。
「失せろ」の仲間たち:
- Vai se foder —「くたばれ」。ただし性的な語で、はるかに下品。
- Vai tomar no cu —「ふざけんな」をずっと下品にしたもの。直訳は「尻で受けてこい」。
- Vai pra puta que pariu — だいたい「とっとと失せろ」。
そして侮辱語そのもの。filho da puta(直訳は「売春婦の息子」、強烈な「クソ野郎」)、cuzão(クズ野郎)、escroto(ゲス野郎、直訳は「陰嚢」)、desgraçado(ろくでなし)、arrombado(非常に下品な侮辱、直訳は「こじ開けられた」)、corno(妻を寝取られた男)。
filho da puta は不思議な言葉だ。親しい友人同士で感心しながら言えば、「あの野郎、運のいいやつめ」くらいの意味になる。O filho da puta acertou de novo! —「あの野郎、また決めやがった!」。怒りを込めて面と向かって言えば、口にできる最も強い言葉の一つになる。相手の母親を持ち出す表現は、どれも同じだと考えていい。
サッカースタジアムには独自のルールがある。観客は九十分間ずっと審判を ladrão(泥棒)や corno と呼び続け、試合が終われば何事もなかったように夕食に帰っていく。そのルールはスタジアムの外までは持ち出せない。
運転にも独自の語彙がある。穏やかなほうでは barbeiro!(直訳は「床屋」、運転がひどく下手な人のこと)、tá cego?(「目ついてんのか?」)、ô, mané!(「おい、まぬけ!」)。自分がハンドルを握っているなら、僕はそこで止めておく。
レベル5:絶対に言ってはいけない
この節では、聞いて気づけるように差別語を挙げている。聞き取りのためだけに載せている。
なかには軽いノリで口にされるものもあり、だからこそ学習者は引っかかりやすい。
性的指向とジェンダー。 Viado(veado「シカ」が変化したもの)と bicha はゲイ男性への差別語、sapatão はレズビアンへの、traveco はトランスジェンダー女性への差別語だ。異性愛者の男友だち同士がふざけて viado と呼び合うのを耳にするだろうし、ブラジルの LGBTQ+ の人々のなかには仲間内で viado や bicha を使う人もいる。どちらも、あなたが使ってよいという意味ではない。2019年の最高裁判決以降、ブラジルではホモフォビアとトランスフォビアが人種差別法で処罰の対象になっている。サッカーの審判も、同性愛嫌悪のチャントがあれば試合を止めるよう指示されている。
シカとのつながりは、ちょっと変わった迷信の由来でもあり、この言葉がいまだにどれほど重い意味を持つかを示している。数字のグループごとに動物を割り当てる違法な路上くじ jogo do bicho では、シカは24番のグループだ。そのため、今でもサッカーのユニフォームで24番を避けるブラジル人男性は多い。
人種。 黒人を macaco(猿)と呼ぶのは人種差別的な攻撃であり、2023年からはブラジルの法律が人種的侮辱を人種差別犯罪として扱い、二年から五年の禁錮刑が科される。同じ理由で批判されている日常表現もあり、避けるのは簡単だ。cabelo ruim(「悪い髪」、アフロヘアを指す)、a coisa tá preta(「事態が黒い」、つまり状況が悪い)、そして mulata。
障害。 Retardado と mongol は「バカ」の意味で軽く使われる。bobo や idiota に置き換えよう。
出身地。 リオでは paraíba が、実際にどの州の出身かに関係なく北東部出身の人への侮辱として投げつけられ、サンパウロでは baiano が同じ役割を果たす。本当の出身州の名前としてはごく普通の言葉だ。侮辱として使えば、それは偏見になる。
女性。 Puta、vagabunda、vadia、piranha を女性に向ければ、もはや強調語ではない。ただの女性蔑視だ。
ポルトガルでは意味が変わるブラジルの悪口
| 言葉 | ブラジルでは | ポルトガルでは |
|---|---|---|
| bicha | 同性愛者への差別語 | 行列 |
| rapariga | 侮辱的、特に北東部で | 女の子、若い女性 |
| puto | ブチ切れている(tô puto) | 子ども |
リスボンのおばあちゃんが rapariga simpática と褒めるのはれっきとした褒め言葉だが、レシフェで言えば大変なことになりかねない。こうした食い違いはヨーロッパとブラジルのポルトガル語ガイドでもっと紹介している。
ブラジルポルトガル語の悪口についてよくある質問
ブラジルポルトガル語で一番ひどい悪口は?
一つに決めることはできない。最悪なのは差別語で、普通の悪口のなかでは、filho da puta や vai tomar no cu を面と向かって言うのが最もけんかになりやすい。
「porra」とはどういう意味?
文字どおりには「精液」だが、実際には万能の感嘆詞で、日本語の「クソッ!」や「ちくしょう!」に近い。ただし、ずっと下品だ。Porra nenhuma は「まったく何も」という意味になる。
「caralho」は失礼な言葉?
下品な言葉なので、職場や知り合ったばかりの人の前では避けよう。友人同士ではとてもよく使われ、do caralho は褒め言葉にさえなる。
PQP とはどういう意味?
puta que pariu の略で、「マジかよ!」や「ちくしょう!」にあたる感嘆の言葉だ。主にメッセージやコメントで文字として目にする。
全部聞き取れて、少しだけ話す
聞き取りの語彙はレベル5まで持っておくべきだ。こうした言葉は映画にも歌にもスタジアムのチャントにも出てくるし、会話の流れが変わった瞬間に気づく必要がある。話す語彙はずっと少なくていい。ブラジルで数年暮らした僕自身のルールはこうだ。レベル1は誰とでも、レベル2は友人と、レベル3はその友人たちが先に僕に使ってきてから、レベル4は使わない、レベル5は頭の中でも言わない。
Falando で試す: Real Talk では、ブラジル人が自然に話すクリップで耳を鍛えられる。気になる反応があったらもう一度再生して、意味を判断する前に声の調子を聞いてみよう。Foda は正反対の二つの意味になり得るが、たいていは声がどちらなのかを教えてくれる。
そして次にブラジル人の友だちが pelada で新しい言葉を教えてくれたら、その友だちのお母さんの食卓で試す前に、それがどのレベルの言葉なのかを聞いておこう。


